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2021年1月9日WSD(くさび状欠損)について
ヒサドメ歯科ブログをご覧いただきありがとうございます。
今年もヒサドメ歯科をよろしくお願い致します。
皆さん、歯が沁みるという経験をされたことは多いと思います。そのような時、まず疑うのは虫歯、その次に知覚過敏、すなわち歯周病が原因と考えると思います。
近年では歯周病予防に着目した歯磨き粉も多数販売されています。予防のために使っている方も多いと思いますが、その中で使っているのにも関わらず沁みる、ましてや、よりひどくなったという方はいらっしゃいませんか。
それはもしかしたら、WSD(くさび状欠損)のせいかもしれません。今回はこのWSD(くさび状欠損)についてお話しします。
WSDとはWedge Shaped Defectの頭文字を取った名称で、一般にくさび状欠損と言われるものです。
具体的な症状や原因についてお話しする前に先に歯の構造について簡単に説明します。
歯の構造はエナメル質→象牙質→神経という構造を取っており、歯根では象牙質の周りをセメント質が覆っています。
一番外側のエナメル質は人体で最も硬いと言われており、その厚みは歯の上部から歯茎に近づくにつれて薄くなっています。
象牙質は骨と同等の硬さで、象牙細管と呼ばれる無数の管を有し、この象牙細管の中を刺激が伝わることで痛みがでます。
WSDは歯の表面のエナメル質や象牙質、特に歯肉との境目である歯頸部が摩耗し、くさび状の窪みが出来てしまう状態を指し、基本的にう蝕を伴わない欠損のことです。歯頸部でよく見られるのは、前述した通りエナメル質が上部に比べ薄く、エナメル質と比較すると摩耗しやすい象牙質が露出するためです。この象牙質は少し茶色がかっていますので、WSDの部位はご本人でも確認しやすいと思います。
WSDが出来てしまうと、エナメル質及び象牙質と神経との距離が近くなってしまうため、より刺激が伝わってしまい沁みや痛みを感じやすくなります。
原因として考えられているのは次の3つです。
- ブラッシング(歯磨き)
- 咬合力(噛み合わせ)
- 歯周病
一つ目のブラッシグによる原因とは、硬めの歯ブラシや研磨剤入りの歯磨き粉の使用及び強い力による歯頸部の歯磨きにより、硬いエナメル質が徐々に摩耗していくことにより窪みが出来ることを指します。
二つ目の咬合力による原因とは、噛み合わせが悪かったり、強い咬合力が歯頸部にかかることにより歯質が破壊されて欠損部位が出来ることを指します。
三つ目の歯周病による原因とは、歯周病の進行により歯肉が退縮することでセメント質が露出し摩耗することを指します。
最初に述べた歯周病予防の歯磨きを使っているのにも関わらず沁みる、痛いという症状が出る方はもしかしたら強いブラッシングによって歯のエナメル質を削ってしまっている可能性があるかもしれません。特にこの忙しい現代社会では、ついつい歯磨きも早く済まそう、でもしっかり磨かなきゃということで力強くゴシゴシと磨いてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
WSDの予防としては、
- 硬めの歯ブラシや研磨剤が入った歯磨きを避ける、もしくはそれらを使用するとしても多少時間をかけて丁寧に優しく歯磨きを行う。
- もし強い食いしばりなどをしていたら、マウスピースを使用する。
- 歯周病を進行させないために日々のケアをし、定期的に歯医者に通う。
当院ではブラッシングの指導やマウスピースの作成、当該部位へのコンポジットレジン(CRとよばれ、一般的に虫歯治療に用いる光硬化樹脂)の充填による治療を行なっています。
虫歯と違いWSDはう蝕を伴わないので大きく削ることもありません。なので、お気軽に当院にご相談ください。